夜の信号の、矢印。
毎回、目を細めて「むむむ」と見ていることに気付く。夜は目が疲れていて、かすんじゃうなあ。むむむ。と、思いながら車を走らせる。
違う。メガネのピント位置だ。
今のメガネを作った時は運転なんか全然してなかったし、毎日ちまちまとCADで画を描いては目を酷使していたので、デスクに座った状態で画面までの距離(1m無い位)でピントが合うようにレンズを作ってもらったんだった。今までずっと、遠くは見えていなかったのだ。たしかに、年に数回だけコンタクトレンズを装着するが、その時の見え方の違いにいつも新鮮に驚く。コンタクトはそこまで手元重視ではなくそれなりに全体的に見やすいようになっている。とってもシャキッと見える。
しかし脳ってのは優秀なので、実は見えていないところも勝手に脳の中で補完してくれている。あたかも見えているように、今まで何の不便も無かった。
とはいえ矢印。
毎回「むむむ」が必要だ。まあ、「むむむ」で見えるから良いっちゃ良いけど……今も基本的にはデスクワーク、社長には画面の文字が小さすぎて「これほんまに見えてるん?」と突っ込まれるぐらい繊細な作業をしている。
遠くが見やすくなるということ、すなわち近くが見えにくくなるということ。等価交換。何かを手に入れるためには相応のものを差し出さなければならない。一番大事なのは何か。
普通に考えて命だ。あまりにも命すぎる。次のレンズはもうちょっと遠くが見やすいようにしよう。ご安全に!



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